カビに見えても、実は“発酵の証”かもしれません。
熟成中の自家製味噌の表面に現れる白い膜や結晶、ふわふわした綿…。
一瞬「失敗!?」と焦りますが、正体を知れば落ち着いて対処できます。
本記事では 「手作りみそ カビ」 で検索しているあなたに向けて
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産膜酵母
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チロシン結晶
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白カビ
の3大現象を 見分け方 → 影響 → 対処法 → 予防策 の順に解説します。
1. 産膜酵母(さんまくこうぼ)
特徴
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表面に薄く張るフィルム状の膜
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色は白〜淡黄色、まれに薄灰色
なぜできる?
味噌表面は空気と接するため酸素リッチ。
好気性・耐塩性の産膜酵母はここで増殖し、有機酸やアルコールを養分に膜を形成します。1
影響
人体への害なし。風味への影響はごくわずかですが、放置すると乾燥や軽い雑味の原因に。
安全な対処法
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すくい取る — 清潔なスプーンで膜だけ除去
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表面を整える — 平らにならして粗塩または 35% 以上の焼酎を薄く塗布
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空気を遮断 — 落とし蓋・重石・ラップで再び密閉
2. チロシン結晶
特徴
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白い針状・粒状の結晶が表面や内部に点在
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カビのようだが触るとザラザラして固い
なぜできる?
長期熟成でタンパク質が高度に分解 → アミノ酸濃度が飽和 → チロシンが結晶化。研究では白斑の約 78% がチロシンと報告されています。2
影響
旨味成分そのもの。無害 なので安心して食べられます。
対処法
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基本は そのまま混ぜ込む/加熱調理で溶かす
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見た目が気になる場合のみ表面を軽く削る
3. 白カビ
特徴
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綿毛や粉雪のように立体的に広がる
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時に青緑・灰色を帯びる(別種カビの可能性)
なぜできる?
空気・湿度・温度(20 ℃ 前後)が揃うと、空中のカビ胞子が定着します。3
影響
多くは毒性のない種ですが、風味劣化や異臭 を生むことも。
安全な対処法
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厚めに削り取る(5 mm 以上が目安)4
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表面を粗塩 or 焼酎で消毒
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保管温度を 15–20 ℃ に、直射日光・高湿度を避ける
4. 失敗を防ぐ!予防&管理のポイント
ポイント | 具体策 |
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清潔第一 | かき混ぜ・除去用の器具は煮沸かアルコール消毒 |
適温発酵 | 直射日光を避け、20 ℃ 前後の安定した場所で熟成 |
空気ブロック | ラップ+落とし蓋+重石で表面を密閉 |
定期チェック | 1〜2 週間に一度は蓋を開け、色・香り・膜の有無を確認 |
5. まとめ
現象 | 正体 | 安全性 | 対処の要/不要 |
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産膜酵母 | 酵母の膜 | 無害 | 膜を除去し塩/焼酎で表面処理 |
チロシン結晶 | アミノ酸結晶 | 無害 | 混ぜ込む・削る程度 |
白カビ | 空気中のカビ | 種類により風味劣化 | 厚めに削除+消毒 |
「カビ=即失敗」ではありません。
正しい知識と手入れで、味噌はむしろ深い旨味へと育ちます。
ハレとケ暮らしと一緒に、“ケの日を整える” 手作り味噌ライフを楽しみましょう。
参考文献・ウェブ情報
免責事項
本記事は家庭での味噌づくりの一般的ガイドです。衛生管理に不安がある場合や異常臭・変色が著しい場合は、破棄または専門家へご相談ください。
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